趣味の問題
大企業の社長が青年を支配下に置き、「真の融合」を目指すドラマティック倒立回転。
フランスの大企業である化粧品会社の社長がウェイターの青年を自分専用の”味見”役に大抜擢☆その青年をコントロールし支配しあげくの果てには自分=青年を目指すよ☆(早口)
本作「趣味の問題」(2000年制作)を観た人なら誰でも思うはずだ☆
「オッサン、それな恋というんとちゃうんかコラ」
パラリラパラリラ…ぶぉお~(バイクが去る音)
私は国道の近くに住んでいるのですが、今時パラリラパラリラと鳴らして走る人はおりませんて。
観ている途中、なんとな~くマッツ・ミケルセン版「ハンニバル」のハンニバルとウィルを思い出しましたねぇ。
本作は早すぎたケッサクなのか、それとも頓珍漢YAOI映画なのか。
さてはてどうでしょうか!手に汗握りますね!!にぎにぎ!
<出逢ったが運の尽き>
とある高級レストラン。フレデリック・ドゥラモン社長のテーブルに、バンビのような瞳を持つ青年ニコラが料理を運んできました!
出逢ってしまったーーーー!!
はい!お互いの人生、終了ーーーー!!!!
目を見ただけで分かる!危険思想の持ち主だと!
(この役者さん凄いね)
なんだろなあ、ウド・キアの顔を彫刻家が「せい!せい!せい!」とミリ単位で調整したかのような危ない顔だわ。
(茶番に巻き込まれるウド・キア)
<サイコパスなの?>
ドゥラモン氏はニコラを自分専用の”味見”役としてスカウトします。
魚とチーズにアレルギーを持っており、自分が食べる前にニコラが料理の中からそれらを見つけて欲しいみたい。
いや、事前に店の人に言うたらええやん…
(そんな野暮なことは言うな!)
ま、まぁ…確かにニコラは食レポが上手ではあります(画像では「まろやか」としか言うておりませんが)。
そんなドゥラモン氏、ニコラを徹底的に甘やかすのと同時に彼をコントロールしていきます。
禁煙を命じることから始まり、会社の研修と称して(実際はドゥラモンとニコラと専属のシェフと主治医のみ)ニコラに10日間の断食をさせます。
苦しい断食のあと、ニコラの前にロブスターとか生牡蠣の盛り合わせを出します。
喰らいつくニコラ。そりゃそうでしょう。
デザートはチーズとリンゴのタルトだという…
ん?
魚(海鮮)とチーズ…これってドゥラモン氏が食べれないものじゃまいか!!
その通りです。ドゥラモン氏は食事をするニコラをにこにこと見ているだけで、自分は手をつけようとしません。
そしてなんと!ニコラの食事に嘔吐剤を入れていたのです!!
夕飯後、おえーーーー!!!っと三日間吐きとおしたニコラ。
無事に回復すると、今度は牛の内臓料理を食べさせます。
ニコラの苦手な内臓料理…。
しかし、やっとゴハンが食べれる…。一口ぱく。
「ん~絶品だ…」ニコラは内臓料理をいたく気に入るのでした。
これで、ニコラはドゥラモン氏と同じように海鮮が苦手になり、ドゥラモン氏が大好きな内臓料理が好きになったのです。
(私は生牡蠣にアタっても一か月後には平気で生牡蠣喰ってそうだが。アタった後に山盛りのネギ出されても喰えない自信あるけどなぁ)
もちろん、それだけではありません。
映画によく出てくるサイコパスの基本のキ!気になる人の人間関係を調べ尽くす!
ニコラが「実は彼女がいる」と言っても、「ふぅ~ん(知ってるよ)」といった感じなのですが”彼女がいるかどうか”より、自分に隠し事をしていたことが許せないドゥラモン氏。
二人は喧嘩をします。
そのあと予想外のことが起こります。
ニコラはドゥラモン氏からの謝罪の電話を待っている。
ドゥラモン氏もニコラに依存しかけており、仲直りの電話をかけてしまいました。
二人は共依存の関係になったのです。
この頃から、ドゥラモン氏は仕事上のミスが増えていきます。
「レオン」のレオンにおけるマチルダみたいなもんでしょうかニコラは。
<策士なの?>
結局、ニコラはドゥラモン氏と同居することに。
しかし!同居した途端にドゥラモン氏はひとりで海外出張に行ってしまいます。
「いつもは自分を連れて行くのに!どうしてひとりで行ったんだ!!僕は孤独だった!」とドゥラモン氏に怒るニコラたん。
ドゥラモン氏はニコラが居なかったせいで、大きな仕事上のミスをしてしまったことを白状。
彼は彼でニコラという存在に溺れるのが恐怖でひとりで過ごしてみたかったっぽい。
自分が居ないせいでドゥラモン氏が失敗をした話を聞いて嬉しそうなニコラ。
ドゥラモン氏は「私も孤独だった。私の孤独を君にも知って欲しい。そうしたら二人の結びつきがより強固になるだろう」と言って、ニコラはたったひとりで、
北アフリカに飛ばされます。
なぜ!大江戸温泉でいいじゃん!
砂漠のなかニコラは孤独に必死で耐えます。
だってこんな所だもん。
(コーヒー噴いたわ)
やっとこさ、帰国。
なのに空港にドゥラモン氏の姿が見えず、「どうして僕を迎えに来ないんだ!」とパニックになったニコラは彼がいるという高級レストランへ。
なんと、そこには後任の味見役グラネ君とやらがドゥラモン氏の横に座っておりました。
あ、ども。
自分が砂漠にいるあいだ、後任の味見役を…?僕は棄てられたのか…?
目に涙をいっぱい溜めるニコラたんなのでした…
しかし、後日。
ニコラが帰国したからグラネ君を解雇したというドゥラモン氏。
あ、どもです。出番が1秒だったので写真二枚貼ってもらってますグラネです。
ドゥラモン氏はニコラを労わり、「そうだ!二人でスキー旅行でもしようじゃまいか!」と誘います。
ニコラは大喜び!!
そうなのです。孤独にさせ、突き放し、また抱きしめる。これで彼はもう自分からは離れられない作戦でした。
えっと、諸葛亮さん?
<どんくさいの?>
二人っきりのスキー旅行。ニコラはもう嬉し過ぎてヤバイ。
ニコラたんよ…、万が一コイツと恋人同士になったとしてもアンタは幸せにはならんよ!
しかし、その翌日ドゥラモン氏がズッコケます。
中年はどんくさいです。
ずっこけドゥラモンはニコラに「さっさと主治医に連絡しろ!!お前のせいで骨折した!」と、さっきまであんなに優しかったのに怒鳴りつけます。
帰宅してもドゥラモン氏のニコラに対する当たりのキツさは変わりません。
骨折して何もできない自分の気持ちが分かるか!とニコラに当たり散らし寿司ですお寿司です!
「じゃあ僕も片足にギプスをつけるよ」とニコラたん。
「ふん!うわべだけ真似たって仕方がないだろ!この家から出ていけ!」とドラエモン。
ニコラは泣く泣くホテルへ。
そして、ホテルの廊下に置いてあった大きな花瓶で自分の足を折りました。
<スピなの?>
ドゥラモン氏がお見舞いにやって来ます。
さぞ、泣きつくだろうと思いきや。
ケガが遅すぎた…なんでも味見役が先だろう?
(つまり、スキー滑ってるときに自分より先に怪我してよってことでしょうか。斜め上の発想)
真の融合が目の前にあったのに全て台無しだ。
愛していたんだ。こんなことは初めてだ。ほぼ完璧な愛だったのに。
うんぬんかんぬん南無阿弥陀仏
終いには波長とか言い出しました。
波長とか波動とか
後腐れなく別れよう、すまない、ニコラ…
と言ってひとりだけ納得してドゥラモン氏は立ち去ってしまいました。
<殺人なの?自殺なの?>
ニコラは衝撃のあまり鬱になってしまい、入院しました。
ニコラを失ったドゥラモン氏は、判断ミスが続いたのか会社の株価が暴落し私生活が滅茶苦茶に。
そのニュースを聞いて、嬉しくなってしまうニコラ。
退院後、ガールフレンドと友人たちとお祝いするなかドゥラモン氏から電話が!
ニコラは赴くのでした。
あんなに優雅だったドゥラモン氏がバスローブ姿のまま、片手に酒、見た目もやさぐれていました。
ド「この二ヵ月ひどく苦しんだ。君のせいだ。全てを失ったよ…
足を舐めろ」
ななな、なんで?コーヒー噴いたわ、二度目やで。
自分をこっぴどく見捨てた男です。ニコラは立ち去ります。
諦めたドゥラモンはお風呂へ(湯船に入る余裕はあるんだね。別にええけど)。
ニコラは戻ってきました。その手にはニッポン大好きなドゥラモン氏が集めてた日本古来の刃物。
ニコラはじっと見下ろし、
それに気づいたドゥラモン氏は微かに微笑みます。
ニコラはドゥラモン氏を殺してしまうのでした。
おわり。
なんのこっちゃ
ニコラはこんな姿になってしまったドゥラモン氏を見てゆれ動く自分が嫌になり、この男から解放されるには殺すしかないと思ったのか。
はたまた、自殺願望のあるドゥラモン氏(彼はニコラと出逢うまで自殺したいと思っていたのだ)の願いを聞いてあげたのか(つまりまだ依存関係が解けていない)。足は舐めずとも刃物は振り下ろす!ラストの解釈は視聴者に委ねる!そういうことでしょうか!(早口)
ホントね、この二人のドラマに強制的に付き合わされるドゥラモン氏の部下の身になってくれ(大変そうだった)。
私がドゥラモン社で働くならば、被害が少なさそうなこの運転手が良いですね。
バックミラーで観察。それが私のライフワーク。
唯一の救いは、ジャン=ピエール・レオーですね。
レオオオオオオオオオオオオオオオ!!
判事役でした。レオーが判事!レオーが判事!レオーが(うるさい)
↓予告編
怪抱ぽんず