すべての些細な事柄

フランスのとある精神科クリニック「ラ・ボルド」で、スタッフと患者が協力し合って演劇の上演を目指すドキュメンタリー(1996年制作)を観ました。
このラ・ボルド・クリニック(Clinique de La Borde)、確固たる信念を持って治療にあたっているクリニックらしくWikipediaにもありました。
精神療法のモデル・ケースとして有名らしいですね。
ウィキでは”病院”となってますが、フランスではどうか分かりませんが(調べろや)、日本では一応”病院”と”クリニック”は違う(ベッドの数等)ので、ここでは”クリニック”とします。フランス語でも「クリニック」となっていますからね。
さて、
↑上に書いてあることは、本作を鑑賞後に調べたことであって、鑑賞中は何も知らず観ておりましたので、感想はド素人視点からの感想ということでご了承ください。
<誰がスタッフで誰が患者か>
私が観てて驚いたのは誰がクリニックのスタッフで誰が患者か分からないところでした。

日本でもスタッフが私服で勤務するクリニックもあろうかと思いますが、これはお国柄なのか、花柄のワンピースやとってもラフな服装(女性陣は各々おしゃれしている)なため誰がスタッフなのか最初はかなり混乱しました。
(いや、日本人だと機能性を優先しそうな服装になりそうという個人的偏見です)

(クリニックのタオルを畳んでいるこちらの女性、「注射の時間だよ~」と呼ばれるまでてっきりスタッフの人かと思っておりました)
意図的にでしょうが、名前や肩書の説明は一切なし!
しかし、説明が一切ないのはフランス映画あるある探検隊なので、フランス映画偏好猛者たちは此れしきでは屁のかっぱっぱ~でしょう。
「あ、この人は患者かな」という人ももちろんいます(クリニックですからね)。

デビッド・リンチとチャールズ・ブコウスキーを足して割ったような渋いオッチャンとか(この人が主人公なのではないかというぐらいの頻度で撮影されていた)、

ふふふ~んと鼻歌うたっている青年とか、

絵描きのソフィーとかですね。彼女は声が可愛くて私は大好きになりましたよ。
ニンゲン、声って大事ですよね。
私は最近酒やけで「う”あ”ぁ”」と、タスマニアンデビルもびっくりな声が出るようになりました。
本作品は群像劇なので、登場人物紹介するとまた1万字超えそうなので泣く泣く割愛。
<ラ・ボルドの方針>
ラ・ボルド・クリニックでは、患者たちも出来る範囲で仕事を任されます。
食事時間の呼び鈴、
食事の為の食器配置、

食事作り、

(この方、呼び鈴兼任です)
他の患者たちも調理を手伝います。
掃除、

(ベッドが見えますね。長期間使用しているな?と思われるベッドも映されたり、家という言葉も聞こえるのでこのクリニックに入院している人と通いの人が混在しているのかな?と思いました)
電話受付まで様々です。

この方は英語でも対応できます。こちらの男性は結構長い期間こちらのクリニックにいるようです。なのでクリニックのこと詳しくて案内が出来るのでしょうね。
<ラ・ボルトの日常>
鼻歌の青年が竹馬を練習しています。

直しても直してもグリングリンのサスペンダーを直そうとしたりと、

ゆるやかに日常が流れて行きます。
私が一番好きなのは先程写真で挙げた、渋い男性のヒゲをスタッフの青年がハサミ(そ、それは文具ハサミですか?というぐらいデカい)で切るシーンですね。

渋「痛い」
青「ヒゲしか切ってないでしょ」
渋「もう立ってられん!」
青「座ってるでしょ」

渋「もういい!」
青「このまま終わったらヒゲがガタガタになるよ!」
渋「みんな天国へ行くのに…」
青「みんな?」
渋「当たり前だ」
このやり取りが素晴らしかったですね。
ミーティングもスタッフと患者で参加します。

医院長(?)らしき男性とその秘書(?)らしき女性。
この秘書さん良いですよね、気だるい感じが(笑)。私好きだわ。

<演目>
そんな彼らが練習するのは、


ステージも手作りです。

スタッフ/患者関係なく楽器を持つ。

あ~あ~あ~すてきな舞踏会
これこそ舞踏会
なんてすてきなの
これが舞踏会~♪
本作を観終わったあと、このメロディ必ずや脳裏にこびりつきます!!

観てもらったら分かるんですが、このクリニックは郊外か片田舎にあるようで自然に囲まれてるんですよね。

ぽつね~ん。周りに何にも無し。

それが良い意味で外界と遮断されていて、ここだけ時が止まっているような錯覚に陥るんです。

この小宇宙のなかで彼らは演劇の練習を永遠に繰り返すんじゃないかと思ってしまう。
(こういうファンタジックさ加減が監督の腕の見せどころってか!)
<開演>

本番の日がやってまいりました!けっこう本格的なヘア・メイク・衣装!

けっこうな数の観客。ゴンブローヴィチ夫人も観に来ています。

登場のタイミングを少し間違えたり、台詞を少し忘れたりと少々トラブルも有りましたが滞りなく無事に閉幕!!

このイベント、患者は強制参加では当然なく、出演していない患者はそこら辺をウロウロしているのがまたそこが良い。
絵描きのソフィーは芝生の上で寝っ転がっていました。
<また日常に戻る>

食事の時間だよの呼び鈴が鳴り響き、またいつもの日常に戻ります。

おわり。
ここの施設だって患者・スタッフともども大変な時だってあるはずなのですがあえてそこは作品に取り入れてないと思います。
恐らくですが、精神疾患をもった人たちへの偏見を無くすためかな?と思ったりしました。(制作年が90年代ですからね。一昔前なんで)
なので徹底的に目線が優しかったですね。監督は何か思うところがあって本作を作ったはず。
と!思うぽんずなのでした~!
怪抱ぽんず
福祉関連に少しでも興味や関心がある人は観ても絶対に損はないはず。
本作の予告編↓