自恃があればよい

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【仕事中に】酔いどれ詩人になるまえに【酒呑むな】

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マット・ディロン主演、2005年制作の「酔いどれ詩人になるまえに」を観ました。

アレソレコレアレソレで、なかなか映画が観れない日々が続いておりました。

 

マイクロソフト社の皆さんはもしかして私の実家のパソコンだけ言語バーを消した、なんてことはないですよね!?

その件で実家に駆り出されたりもしていました。

 

<ヘンリー・チナスキーの人生ところどころ>

またもやヘンリー(愛称ハンク)・チナスキーもとい、チャールズ・ブコウスキーの自伝的映画を観ました。

仕方ない…が出てくるのだから。

それに、「バーフライ」の主人公を演じたミッキー・ロークと本作の主人公を演じたマット・ディロンの演技の違いを観たかったのもあります。

主人公はどちらもヘンリー(愛称ハンク)・チナスキー

(ヘンリーとハンクって”H”しか共通点が無いのだが。欧米の愛称の付け方って時々不思議)

原作者であるチャールズ・ブコウスキーの分身的キャラクターであります。

 

同じキャラクターを違う俳優が演じるのって面白いですよね。

世の中には沢山ありますけども、バットマンとか007とかまあいろいろ(い)。

 

ミッキー・ロークのあのお祭りキティちゃん状態の演技アプローチはもう二度と使えないだろうし(本人しか)、マット・ディロンかて過去の物真似はしたくないだろうし。本作は地味で静かな作品なのですが、その点は手に汗握ったぜ。

 

私の中のマット・ディロンといえば、最近では「ハウス・ジャック・ビルト」でしょうか。

それに、ニコール・キッドマンが野心まんまんの“お天気お姉さん”を演じた「誘う女」で、どちゃ若かった頃のホアキン・フェニックスに殺害されるニコールの夫役とか。

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(後にホアキンがジョーカーを演じることになるなんて当時誰が予想できたでしょうか。ガス・ヴァン・サント以外で)

 

あと、そーそー、「ドラッグストア・カウボーイ」もありましたなぁ。観た観た。

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バロウズじいちゃんと若かりし頃のディロン。…ってこれもガス・ヴァン・サントやんけ!本記事内のガス・ヴァン・サント率が上がっている!)

 

ちなみに、マット・ディロンは左利きです。字書いてるとこ、可愛いです。

 

<職を転々>

本作は基本、仕事をころころ変えつつ恋愛しているチナスキーの様子を描いていきます(だから!「バーフライ」といい本作といいなんでモテるんだよ!)

 

氷をドリルで削る仕事?アレは何という職種だ?

仕事の途中でバーに寄っているところを上司に見つかりクビ

 

タクシー会社

飲酒運転の前科が判明してしまい、クビ

 

ピクルス工場

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流れてくるピクルスの瓶をひたすら整理。

 

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流れてくるピクルスを…ひたすら…なんだろう…撫でる、均す。

バーに行こうとしたら上司に止められ乱闘。クビ

 

そのあと、リリー・テイラー演じるジャンに会います。

バーでナンパしました。

 

<リリー・テイラーが可愛い!>

本作はですね、リリー・テイラーが良いんですよね~っ!!!

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なんかもう、体つきも好きです!

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このあと、夕飯(バターが無いので油でパンケーキを焼くという)の準備を二人でするのですが、ゴツい大瓶赤ワインをあけるのですね。

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↑画面下の大瓶。

これ、日本で(私の云う日本とは「酒のやまや」)は見かけませんが、多分ですがジャック・ケルアックがガブ呑みしてアル中&激太りになった元凶の“ジャグワイン”ってやつじゃないかなあ。

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ジャグワイン - Wikipedia

↑ウィキのページ

 

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ケルアックに関する↓こんなサイトを見つけました。

THE DAILY BEAT: March 10: On Wine (thedailybeatblog.blogspot.com)

 

毎度のごとくDeep Lに翻訳してもらうと、

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”トカイ”とは当時の安ワインの代名詞的存在のようなワイン。

Deep Lは”a jug”を水差しとそのまま訳してしまっていますね。それに"wino"も。

"a jug"はそのままジャグワインじゃ分かりづらいので、大瓶と訳した方がええんじゃないかな。  

wino”はワイン通ではありません。ジョニー・デップのファンの方はウィノナ・ライダーの件でご存知のはず。

"wino"は呑兵衛とか飲んだくれとか、アル中の意味ですな。

 

とまあ、

つまり、金銭的に余裕のない酒飲みが呑むワインを本作の二人は吞んでいると。

そういう説明的なシーンでもあります。

そして、ケルアック・ファンは「あれが例の悪魔か!」と憎悪をぶつけてみましょう。

 

と、

リリー・テイラーから脱線をしてしまいましたが、リリーといえば、

「アイ・ショット・アンディ・ウォーホール

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この映画でリリーは「SCUM(汚物、社会のゴミといった意味)」という「男は全滅しろ」みたいな内容の同人誌を発行するんですが、中身はさておき、やはり同人誌というものは熱い篤い暑い厚い熱意が必要なのだと思わせてくれるので、あの下りは好きですね。

んで、

この作品のなかでリリーは登場人物たちから「醜い!なんて醜い女だ!」みたいに馬鹿にされるシーンがあるのですが(ストーリーは忘れているがこのシーンだけは鮮烈に覚えています)

 

本作を観てると、リリーって可愛いよ?と思いますね。

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「アイ・ショット~」のあの台詞は何かの間違いなんじゃないの?みたいな。

 

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大人は大人なんですけど、子供っぽいところがあってとても好みでした。

キャラクター的にも「金の無いアンタが好きなんであって小銭稼ぎだしたアンタなんか嫌いじゃアホボケカス!」と激おこしてバーに行って酒を呑むという。

「そんな人もいるんだなこの世の中には…」と、勉強になりましたね。彼女は金なんかよりセックスのほうが大事よ!!みたいな女性でしたね。

「だったら一生チナスキーと添い遂げられるジャン!」と思ったのですが、結局別れてしまうんですよね、この二人。悲しい…(;´・ω・)

 

(「アイ・ショット~」をググってたら、ロテール・ブリュトー出てるじゃん!!

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一体どこに出てたっけ!?ウォーホールの助手とかですか?!観直さないと!と思ったぽんずでした)

 

<恋愛小説家ここにあり>

リリー・テイラーと一度目(二回別れる)の別れから一瞬だけ、マリサ・トメイとも付き合ったりして、相変わらずモテるチナスキーもといブコウスキー

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(この他所の男のツケで買い物する場面は「バーフライ」でもフェイ・ダナウェイがやってました。ブコウスキー作品の中では名物キャラなのだろうか)

 

私、本作観てる途中で思ってたんですけど、ブコウスキーって"酒"とかじゃなく、この人の核って”恋愛”だったりする?

 

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(リリー演じるジャンがハイヒール痛い!と言って、チナスキーがハイヒールを脱がせてやって自分の靴を履かし、)

 

さすが、ハーレイクイン誌の編集者とケッコンしたことがあるブコウスキー

(というかハーレイクイン誌の編集って楽しそうな仕事だな、おい)

 

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(自分は靴下のまま歩く、とかですね。胸がきゅん!きゅん!(∩´∀`)∩どうぢて別れるんだお前ら!というですね心情がジェットコースター・ムービーであります)

 

と、まあ、そんなチナスキーでありますが、本作のヘンリー・チナスキーはですね、マット・ディロン本人の醸し出す雰囲気も当然ありますが、全体的に”寡黙な熊”というかですね、

「バーフライ」版同様に”女性に脅威を与えない”という徹底した面がございまして、だから女は安心してチナスキーと付き合うし、心を許すという…

 

じゃあ、なんで彼がそうなったのかといいますと…

 

<亭主関白DVオトン>

本作はチナスキーが転職を繰り返し、女とくっついたり別れたり、金が底をつきかけてやっとブラックスパロウ・プレスという出版社の編集者であるジョン・マーティンに才能を見出され終了となる映画なんですけども、

 

一番心にグサっ(私に心があるのかどうかはまた別の議論として)

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(イメージ図)

ときたのはですね、チナスキーが家もない金もないってんで、実家に一旦身を寄せようと帰省する一連のシーンです。

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ブコウスキーの肌質を再現しているのが良い)

 

オカンは息子に会えて嬉しそうなのですが、問題なのは

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このオトンですね。

 

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息子に食事を用意したら自分は後ろの席に座って食事を共にしないオカン

このシーンだけでこの家庭がどんなにヤバイか想像できるというものである。

雰囲気もピリピリしております。

 

チナスキーが無職だと知ったオトン、開口一番、

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そして、お前がそんな人間なのはやる気がないからだ、野心もなければ気力もないと言います。

 

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オカンは密かに自分の息子を応援しているのですね。

 

オトンは家にいる間は食事代、宿泊代、洗濯代等々を払えとチナスキーに言います。

チナスキーが職にありついたらその金を給料から天引きするとも言いました。

「実家なのに…」まあ、でも、「チナスキーも大の大人だからなあ。無職の息子にオトンが喝を入れているだけなのかもしれない」とも思いますが…

責めに責め立てます。

オトンが「週の半ばだというのにもう酒か!!」と嫌味を言います。

「週の半ばだから吞むんだよ」と息子。

そうだそうだ!!

週の半ばだから呑むんだよ!

このタコがっ!!

(と、全国の酒飲みの声を代弁しておきました)

 

終いには、チナスキーは我慢できずに「ロバート(オトンの名)、女のケツ追いかけまわしにバーへ行こうぜ!」と日本人には理解しづらいアメリカ人独自の言い回しでオトンに喧嘩を売った挙句に家から追い出されました。

いや、そりゃあ、自分の息子が定職にもつかず終始酔っぱらって”作家”を名乗ってたらどんな父親でも怒るでしょうけど…

 

でも、ブコウスキーってたしか父親から虐待受けてたよな?

と確認のためにググったところやはり、父親から酷い折檻を受けていたようです。肉体的にも精神的にも虐待を受けて育っていたのでした。

 

まあ、私はブコウスキー本人には会ったことはないですが(そりゃそうだ)

本作(と「バーフライ」)のチナスキーを見る限りにおいては飲酒に安息の地を求めてズブズブと沼にハマっているのは父親が原因95パー

女性に対して大人しくて和やかなのは、父親が反面教師100パー

 

そんなところでしょうか。

チナスキーもといブコウスキーを熊として表現するとしたら、

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こうですね。

 

<追記の補足:楽しい場面もありますよ>

毛ジラミが移ってしまい、薬局で薬を買ったところ薬剤師から「30分以上放置しないでください」と念を押されたのにも関わらず、「全滅させてやる!」と一晩放置オーバーキルしてしまったせいで、棒と玉が赤く腫れあがる場面ですとか。

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マット・ディロンが好きでたまらない人はこの場面を脳裏に焼き付けて生きてるんじゃないかな)

 

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マット・ディロンが好きでたまらない人は以下省略)

うん、いや、でも、普通にエロいよ、うん!

 

とかですね、私が好きなのは冒頭の

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日本だと誰でしょうね!?!

あの人とこの人とあの人と・・・

と、皆さんも嫌いな作家を思い浮かべてみましょうね!!

私はあの人ウンコの川に流しておくことにします!

(冗談…ではない冗談ですが)

 

 

f:id:jijiarex:20211221145135p:plain怪抱ぽんず

ちょっと最近時間が無くてイラスト描けないです。次回こそは!